iDecoのお得な受け取り方って?
個人型確定拠出年金iDecoは基本的に60歳以降受け取ることができます。50歳以降で加入した場合などで加入期間が10年に満たない場合は受け取れる年齢が繰り下がります。
iDeCoの受け取り方には「一時金」「年金」「一時金+年金」の3種類があり、受け取りには税金がかかりますが、一定金額以内であれば、非課税でお得に受け取ることができます。
ちなみにiDeCoは60歳になったら自動で受け取れるものではありません。自分で受け取り方を指定して請求手続きをしなくてはなりません。請求しないままでおくと70歳ですべて一時金として支払われますが、それではお得な受け取り方ではなくなってしまいますので注意が必要です。
iDecoの受け取りはまだ先ですが、60歳になったときに慌てて間違った選択をしないように受け取る方法を知っておきたいと思います。
一時金としてまとめて受け取る
これまでの運用していたiDeCoをまとめて受け取るのが一時金での受け取りになります。一時金での受け取りは退職所得とみなされるため税金がかかりますが「退職所得控除」が適用され一定額が非課税となります。
お勤めの会社に退職金がある場合、退職金と同時にiDeCoを一時金で受け取ると退職金と合算されます。退職所得が退職所得控除額を大きく上回って、税額が大きくなってしまう場合があるので注意が必要です。
まずは、退職所得控除の計算をしましょう。退職金がある場合は勤続年数、退職金がない場合はiDeCoの加入期間が勤続年数となります。退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取る場合はどちらか期間の長いほうが適用されます。
退職所得控除
【勤続年数20年未満】40万円×勤続年数
【勤続年数20年以上】800万円+70万円×(勤続年数-20年)
つぎに、退職所得の計算です。
退職所得
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得が退職所得控除を超えた額の2分の1に所得税・住民税が課税されます。退職所得の源泉徴収税額の速算表は下記を確認して所得税の計算しましょう。住民税一律10%になります。
わたしが60歳で受け取る場合(退職金なし・運用利回りを7%程度と仮定)を計算してみました。
退職所得控除=800万円+70万円×(勤続年数22年-20年)=940万円
退職所得=(1350万円-940万円)×1/2=205万円
所得税=(2,050,000×10%-97,500円)×102.1%=109,757
住民税=2,050,000×10%=205,000
税金合計=314,757
年金として受け取る
これまでの運用していたiDeCoを分割して受け取る(年金)こともできます。iDeCoを年金で受け取ると雑所得扱いとみなされます。雑所得は公的年金・企業年金・iDeCoの給付金などの合計額に税金がかかりますが「公的年金等控除」が適用され一定額が非課税となります。
また、年金で受け取ると資産を全て受け取るまでは口座管理手数料がかかり、受け取るたびに毎回給付事務手数料がかかります。
公的年金等控除
65歳未満は年間70万まで非課税
65歳以上は年間120万まで非課税
会社員で厚生年金にも加入していた場合、女性の公的年金受給額の月平均が10万9000円くらいなので、65歳以降に公的年金の受給が始まると、それだけで非課税枠の120万以上となります。65歳以降にiDeCoの給付金を年金で受け取るとその分課税されることになってしまいます。
自営業や専業主婦の方で公的年金が少ない場合は、公的年金等控除の額内で収まるようにiDeCoを年金で受け取れば税金がかかりません。
一時金+年金を併用して受け取る
iDeCoは一時金と年金の受け取り方法を併用することができます。
退職所得控除額までをiDeCoの一時金として受け取り、残りを年金で受け取ると税金をできるだけ抑えて受け取ることができます。公的年金は70歳まで繰り下げられるのでその間に公的年金等控除額内でiDeCoを年金として受け取るのがいいかもしれませんね。
わたしの場合、厚生年金には加入していますが退職金がないので、iDeCoの受け取りは退職所得控除額までを一時金でまとめて受け取り、残りを公的年金の受給が始まるまでに年金で受け取れば、税金の負担は無く受け取れそうです。
iDeCoを始めたはいいけど、受け取り方を工夫しないと受け取り時に税金がかかってしまうので気を付けないとですね。受け取り方は結構複雑なので、自分のライフスタイルや働き方などが変わった時は、定期的に受け取り方を考え直す必要がありそうです。